「The Artful Escape」#33
The Artful Escape
これまでの主人公は文句も言わず、諾々と従っている印象があった。それと比べるとかなりの成長なのではないかと思う。
LIGHTMANは破天荒な人物だが、その破天荒さのおかげで主人公が救われてきたのも事実だ。なにしろここまで主人公を導いてきたのは彼なのだし。
しかし、最後という言い方からして、彼はアーティストとしても引退してしまうのだろうか。
いいぞ、よく言った!!!
確かに彼は恩人であるが、それはそれとして言いたいことは言っていこう。なにしろ、これが最後になるかもしれないからな。
「The Artful Escape」#32
The Artful Escape
ファンとの交流会をこんなに大々的にできる日が来るなんて、感激である。
なのにアンタはそんな変なポーズして!!!
ボタンを押すごとにポーズが変わるのだが、どれも似たりよったりのおかしなものばかりだ。
糸で釣られたマリオネットのモノマネか、下手くそなパントマイムのどちらかにしか見えない。ひどい。
ここは緊急連絡を入れてくれたLIGHTMANに感謝すべきかもしれない。ついでに写真を撮る時のポーズのレクチャーも付けてくれ、頼む。
LIGHTMANの辞書に「謝罪する」の文字があったとは驚きだ。クビにされたことがよほどメンタルに響いているのかもしれないな。
「The Artful Escape」#31
The Artful Escape
楽屋の必需品は?という質問の続きだ。選択肢が独特すぎて、質問を受けている本人もよく分からないまま答えている。
そのおかげで楽屋にタコのバーテンダーを呼んで飲酒した後、ナンバープレートのないホバークラフト(ガソリン満タン)で飲酒運転するヤバいやつになってしまった。
よいこの皆さんはくれぐれも真似をしないように。
“死語を流暢に話す蛾”…… チョベリバとか言うのだろうか。着メロとか写メとか。ダイヤルアップ接続とか。これ以上は私の心が削られそうなのでやめておこう。
“無重力専門の建築家”…… 重力も耐震も考えなくて済むなら、建築デザインはかなり自由な発想でできるだろうなという憧れを込めて。
日本のような災害の多い国では、それだけ建物にも対策を求められるので選択肢もどんどん狭くなる…… これは仕方ないことだが。
最後は少し真面目に答えてしまったが、どの答えも主人公の人生とはまったく関係がないため、結果だけ見るとウソにウソを重ねただけだ。
これがウソだとバレた日には…… 想像するのはやめておこう。
「The Artful Escape」#30
The Artful Escape
自分で「レーザーのような」という称号を付けておきながら、いざ口に出されてみると恥ずかしくなってしまう……すまん、主人公よ……
ここは大物感を出すために、落ち着いた対応を心がけていこう。
これはもう調子に乗りすぎと言われるかもしれないが、ここでのパフォーマンスが成功すればいずれ主人公の時代が来るのでウソではない。
聞いたこともない茶葉の名前だが、「歌手なら喉に気を使っていてお茶などの飲み物に強いこだわりがありそう」というとんでもない偏見からこの回答を選んだ。
3つの必需品の中の1つ目ということだが、あとの2つもきっと妙なものがラインナップされているんだろうな。
「The Artful Escape」#29
The Artful Escape
温泉のようにも見える川を渡って奥へと進もう。
とんでもない人気者だ。こんな森の奥地にまで名前が轟いているとは。もう今さら、もとの田舎町には戻れないんじゃなかろうか。
すべてをやり遂げたあと、主人公はどうするつもりなのだろう。
とりあえず大物っぽい雰囲気を出しておこう。とにかくこの主人公は自信のなさが問題であるので、虚勢でもなんでも良いから自信を付けさせることが肝要だ。
というわけで、次回は堂々とした態度でインタビューを受けるぞ!
「The Artful Escape」#28
The Artful Escape
後ろのほうにLIGHTMANの姿がチラチラと見えるのがちょっと面白い。主人公のためにすでに根回しをしてくれていたようだ。
インタビューを受けるのは初めてではないし、上手くやれそうだ。と言っても、答えたのはほとんどウソの経歴なのだが……
今更だが、観客の中に主人公が地球人であることを知っている者はどれだけいるのだろうか。
前評判をできるだけ上げておけということだな!意外と小賢しい策士だな!
すでにかなりの人気があると思っていたが、まだまだ足りないということらしい。
「The Artful Escape」#27
The Artful Escape
上に乗るとボヨンボヨンと跳ねる花を渡って先に進もう。暗い森を抜けて少しずつ明るくなってきたな。
前時代的な建物とレーザー光の組み合わせがミスマッチなようで、意外と合っているのが面白い。よく見るとラッパ型のオブジェもある。
すでに観客が大勢集まっているようだ。実際にその姿を見ると、主人公の人気が実感できる。
次は宙に浮かぶ花に乗って移動だ。ライトアップがまぶしい。なんとなく当たると焼き切られそうな色をしていてちょっと怖いな。
遠くにLIGHTMANの映像が見える。どうやら前座としてのパフォーマンスをもう始めているようだ。急がなければ。